観光庁は、観光地域づくり法人(DMO)の安定的な運営資金の確保に関する手引きとして「DMOにおける自主財源開発手法ガイドブック」を作成した。財源開発の手法として入湯税などに続いて取り上げたのが、宿泊税以外の観光に関連する地方税(法定外目的税、法定外普通税)だ。ガイドブックから検討のポイントを紹介する。
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自治体は、宿泊税や入湯税以外にも、地域の特性を生かした地方税を設計・導入することができる。宿泊や入湯といった行為に関係なく導入でき、工夫次第では導入しやすい。
具体的には、島、山、自然公園などへの入域、駐車場の利用、別荘の所有、観光地域でのレジャー行動などに対する課税などが挙げられる。現在このような地方税は、環境整備・保全を目的に課されたものが多く存在しているが、その納税者の多くは他地域からの旅行者となっているため、観光関連の地方税と捉えることもできる。
これらの多くは、宿泊税と同じ法定外目的税として導入されている。導入する場合の手続きは宿泊税と同様で、自治体で制度を検討の上、条例を制定し、総務相の同意を得て施行される。
◆仕組みの一例
観光に関連する税は地方自治体が徴収する。徴収には強制力がある。
(1)地域を訪れる旅行者が、課税対象となっている行動を行う際に、利用料金に上乗せして地域の事業者などに目的税を支払う。
(2)地域の事業者は特別徴収義務者として、自治体に申告納税する。
(3)自治体は、議会の議決を経て、その目的税の目的、使途に沿った事業の経費として支出する。
DMOはその一部を自治体から委託費、補助金などの形で受け取り、財源とすることになる。
◆税の目的の検討
法定外目的税では、観光活動に関連する行為を広く課税対象にできる。財源確保の観点から、地方税として導入が適切であるかを検討することが必要で、税制度の設計として、公正、簡素、中立の3原則を満たしていることが重要だ。検討のポイントは、(1)課税対象を特定して納税義務者を捕捉し公平な課税ができるか(2)税収効果と比べて徴収事務の負担が大きくならないか(3)受益者と負担者の関係が正当か―の3点だ。
また、税制度の設計によっては、地域住民も課税対象となることもある。その場合、地域住民からの理解を得る必要がある。
◆具体的な導入事例
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